価値創造コラム:「コミュニティからのイノベーション」
キャズム理論を理解して、
事業をスムーズに立ち上げる [3]
こういう人たちは、まさにアーリー・アダプターなわけです。商品のコンセプトが良かったり、他社との差別化が少しでもできれば、少々荒削りでも導入してくれます。それがアーリー・アダプターのモチベーションなのです。
私は、大きなシステムをオーダーメイドで作る会社にいて、基本的にはアーリー・アダプター相手に額の大きな仕事をしてれば良いのですが、もっと売上を上げるには、これではいけません。
大きな市場を占めるのは、ちゃんと費用対効果を考慮して、「商品が現実的に役に立つから買う」、という人たち。これが、アーリー・マジョリティです。
この人たちは注文が多いし、シビアだし、今のやり方で満足してたら、わざわざ冒険することはありません。
よくあるシチュエーションは、「Excelで十分じゃないの?ちょっと手作業はいるけど、わざわざお金かけるのもねぇ・・・」という反応です。結構、正しいです。
新しい物好きに売れた商品も、こういう人たちに売るのは一苦労です。よっぽど商品の使い勝手を良くして、他に使っているシステムとの連携なども考慮して、業務で違和感なく使えるようにしてあげないと買ってくれません。
「既存のシステムと連携できません」という場合、アーリー・アダプターの人だと、「じゃあ、システムを 2つにして、机にパソコンをもう1台ずつ置けばいいじゃん」と、平気で言ったりしますし、現実にそうなることもあります。(使う社員の方々は大変です・・・)
でも、アーリー・マジョリティの人たちには、トータルとして綺麗に運用できるシステムでないと受け入れてくれません。常識人ですね。
これは大きな違いです。
ここにキャズムがあるのです。
ムーアは言います、「アーリー・アダプターの目的は“変革”だが、アーリー・マジョリティの目的は“生産性”である」と。
そして、運良くキャズムを超えたとしても、その先のレイト・マジョリティは役に立つと分かっていても面倒くさがりますし、ラガードはまったく使いたがりません。
では、新商品を開発し、キャズムを超えて大きな市場に広めるには、いったいどうしたらよいのでしょうか?
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