価値創造コラム:「コミュニティからのイノベーション」
キャズム理論を理解して、
事業をスムーズに立ち上げる [6]
■BOPを日本へ
「ネクストマーケット」の中で、ある個人代理店の女性はアンケートに、以下のように回答しています。
Q.この仕事を始めて、一番変わった点は何ですか?
A.今では「一人前の人間」になれました。私のことを人々が尊敬してくれます。アドバイスを求められたら、手助けをしてあげられます。
このような個人代理店が100万人おり、今まではアプローチできなかった、貧困層の2〜3億人に製品を販売することが出来ています。
しかも、彼女たちは契約を守ることのメリットを理解しており、それをそれぞれの村に浸透させる力も持っています。
先進国から持ってきたガチガチの経済システムを押し付けるのではなく、BOPの社会システム、すなわち人的ネットワークの中に、「教育」を導入することで、新たな経済システムが徐々に構築されていくということです。
これは、日本の企業に当てはめることができるのではないでしょうか。
特に、サービス業、知識労働者を抱える企業に当てはまります。
モノを売っている企業が拡大していくことは比較的容易です。中央で作っている商品の品質が担保されれば、販売網が拡大していったとしても、致命的な欠陥は起こらないでしょう。
しかし、ケアワーカーのように完全にサービス提供者個人に依存するビジネスであったり、多くの場面で人の判断が必要なビジネスでは、品質を保ったまま規模を拡大することは非常に難しいことです。
旧来のやり方を使って、会社やフランチャイズという枠組み、つまり「ルール」で多くの人間を管理しようとすると、一定以上の規模になると破綻してしまいます。これは、ニュースをご覧になって実感されている方も多いと思います。
モノでは競合他社に差をつけられない時代ですから、教育、つまり人間というインフラへの投資を増やさなければなりません。
教育をおろそかにしてルールで縛るのではなく、ルールは最低限に留めておき、教育によって自然と正しい判断が出来る人材を育てることが必要な世の中なのだと思います。
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